自分でやってみよう!フェルナンデスのレスポール フレット交換

ギターのカスタマイズ

この記事の製作・改造・作業内容

フレット打ち

フレット交換に挑戦

フロイドローズ(実際はシャーラー)化したフェルナンデスのレスポールですが、フレットの高さが少々低く他のギターとのバランスを考慮し、またナットも交換したかったので、ついでにフレットも交換してみることにしました。

以前、78年製レスポール・カスタムのリフレットをプロに依頼したときは、¥30,000くらいかかりました。
が、今そんな大金はありません。
ということで、自分でやります。
プロも最初はアマチュア。なので自分でも大丈夫なはずです!
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ということで、サウンドハウスからフレットとフレットを抜いたり切ったりする「フレットカッター」というやつを購入しました。
フレットは先述のカスタムの時と同じジェスカーの#55090 NS18% 予めアール付にカットした24本入りで¥2,354。幅2.28mm x 高さ1.40mmのミディアム・ハイっていう感じでしょうか。
フレットカッターは¥3,002。専用工具なので、この先どれくらい活躍するかわかりませんが、フレット自体はメチャ安いですね。

フレット抜き~指板サンディング

まずは現状のフレットを抜いていきます。
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フレットカッターでフレットの中央辺りをつまんで、ゆっくり握り込むとフレットが抜けていきます。
数か所、指板の破片がチップした箇所があったので、瞬間接着剤でくっ付けときました。
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フレットを抜くとこんな感じに。
白いのは接着剤かな?木クズみたいなヤツも出てます。
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フレットを抜いた指板は、400番の紙ヤスリでサンディングし、フレット溝にたまったカスも除去しておきます。

で、フレットを比べてみました。
上が今回打ち替えるジェスカー#55090。下が元のヤツです。
指板に埋まるタングという部分の高さが同じくらいなので、そのまま打ち込めば良さそうです。
タングに付いたスタッドがジェスカーが均等に並んでいるのに対し、現状のフレットのそれは、最初ランダムに見えましたが、よく見ると、短-長-短-長・・という独特の間隔になっています。
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横から見ると、タングの高さはほぼ同じですが、指板から上に出る部分の高さはだいぶ違います。

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レスポールの指板はバインディングがあるので、その部分にタングがあるとフレットが打てません。
なので、バインディング部分のタングをカットして、ヤスリで平らにします。22フレットあるので、これを44回やります。プロの工房での料金表でバインディング付きのフレット交換が少々高いのはこの辺りの工程が余分にあるからだと思われます。
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こんな感じになるわけです。
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下処理したフレットは一応各フレットの長さ+αにカットしているので、新聞紙に両面テープを貼ってスタンバイさせておきます。

いよいよフレット打ち込み

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いよいよフレットを打っていきます。
溝にタングを入れて、あて木をして金づちで打っていくだけです。
両端を先にトントン、そして中央をトントン、という感じで優しくやっていると簡単に打ち込めました。気合を入れた分拍子抜けするほど簡単でした。
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ネック裏には巻いたバスタオルを置いてケアしております。
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いやー簡単ですねー。
しかし、これからの作業こそがフレット交換のメインと言っていいんではないでしょうか。

フレットのエッジ処理~すり合わせ

ここまでフレットを抜いたり打ち込んだりしてきましたが、まぁ言わば単純作業。
楽器として使えるものにするには、この後の微妙な作業がとても大事になります。

フレットのエッジは、通常30度~60度の角度を付けて面取りするようなんですが、今回はなるべく弦落ちしないよう、ほぼ直角にカットした上で、球状に処理してみました。
これでポジション移動時に左手がエッジが当たって痛いことも無く、弦落ちも防げます。
ただし、フレット1本に対し両端の下部を左右から丁寧に削る×22本分なので、非常に面倒です。工房やリペアマンのレベルもこの辺りの作業の精度で決まるんではないでしょうか。
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この作業は、タング部分を削ったカマボコ型のヤスリを使用しました。ヤスリの平たい底面にマスキングテープを貼って指板を痛めないようにしながら、アールが付いた部分でフレット下部を削って丸みを付けていきます。さらにランディVのすり合わせで使用したフレットファイルというフレットトップの丸みを付ける専用ヤスリも駆使し、最後は800番→1000番と紙ヤスリでサンディングします。
で、1週間置いておいて、ビビリや音詰まりなど気になった部分を中心にすり合わせを行いました。
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弦高(弦とフレットの間の距離)は1弦12フレットで1.8mm、6弦12フレットで2.0mm程度です。
フレット自体が高くなったので、指板からの距離は以前よりも増えた感じがしますが、軽いタッチで押弦でき、指の腹が必要以上に指板に触れないのでチョーキング等も非常にスムーズです。

ナット交換

ナットもブラスのヤツに交換します。
用意したのは、ALLPARTS JAPAN BRASS NUT LP (BRASSNUTLP) ブラスナット、レスポール用です。¥648です。
予め弦の溝切りも施されており非常に便利です。
こいつは文字通りポン付けできました。底面と指板に接触する面に微量の瞬間接着剤を付けています。
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はじめてのフレット交換を終えて

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いつかはやってみたいと思いながら、そのハードルの高さに躊躇していたフレット交換。
やってみると意外と簡単でした。
タングの高さがほぼ同じ、予めアールが付いた交換用フレット等、好条件が重なったのも幸いしました。
また、数々のネット上の記事、特にエッジの球状処理についてはこちらの記事が非常に参考になりました。
http://www.ikebe-gakki-pb.com/wsr/?p=9604
プロの方がノウハウを公開してくれるなんて、何と良い時代なんでしょうか!

しかし、本当に手間がかかるのは、楽器としての微妙な精度や仕上げの美しさといった職人的な部分なんだなぁ、ということも良く分かりました。
人様の楽器を預かって限られた時間内に丁寧な仕上げでちゃんと演奏できる状態にする以上、数万円かかっても文句は言えません。

でも、ちょっと時間がある時に自力でチャレンジしてみる価値はあります。
エッジの仕上げとか、自分の好みに合わせてとことん追求できますからね。また、逆に適当なところで妥協できるのもDIYの良いところですね!
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