ARIA PRO II PE 大改造レストア 第一週目

ギターのカスタマイズ

この記事の製作・改造・作業内容

今回の獲物はARIA PRO II のPE

ARIAの名器といえばPE。ヤフオクでもSUPRAやPE-R80といった機種は本物のジャパン・ヴィンテージは勿論、リイシューものも非常に人気が高く、高額取引されています。いつかはPEをいじってみたい、と思っていたところ、主要パーツが抜き取られた抜け殻状態のちょうど良い出物をゲット致しました。
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ヘッド形状やツマミがパーロイドのペグなどの特徴から90年代の韓国生産品でおそらくPE-DLXだと思われます。

カタログ上のスペックは下記の通り。
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トラ杢のメイプル・トップは、ほぼ突き板同然と思われますので、アルダー・ボディといっても良いでしょう。
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ネックはマホガニーで安物ギターにありがちなスカーフ・ジョイント。
ボディとのジョイント部は低いヒールが! せっかくのPEなので、「なんちゃってヒールレス」くらいにはしときたいですね。
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指板は茶色の安っぽいローズウッドですが、コンディションは上々。フレットはローポジションの減りが少々目立つ程度。ポジションマークのブロック・インレイは、材質は樹脂系でしょうが、くすんでおります。バインディングの細かい白黒レイヤーが面白いです。1層1層重ねたものでは無く、おそらく元から縞々になった厚いヤツを1層貼っただけだと思いますが。
今回は指板も大胆に手を加える予定です。
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指板とボディの接着部やボディに謎のクラックが入っております。
が、リフィニッシュするので気にしておりません。
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恒例のアンカー抜きからFLOYD用アンカー穴開け

抜け殻のPE。当然、テールピースやブリッジが上手い具合に欠落しております。
で、FLOYD化したFERNANDESのレスポール同様、こいつもテールピースとブリッジのアンカーを抜きます。
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テールピース、ブリッジともアンカーは8mm径でしたので、ご覧のセッティングで全部抜きました。

ということはつまり、このPEもFLOYD化ということです。
ボディ厚がレスポールより10mmくらい薄いし、フォスナー・ビットという新兵器も導入しておりますので、前回よりはザグりも楽かな?と期待しておりますが・・・

既存アンカーを抜いたら、FLOYDROSE用のアンカーを埋めるための穴を開けます。
まずは、アンカー穴の位置出しです。
ブリッジ近辺にセンター線を引き、指板の先端からスケール長630mmを計測しライン上に印を付けます。
それに先立ち、ブリッジ(今回はGOTOHのフロイド・ライセンス 1996T)のスタッド中心点からサドルの弦が乗る位置までの距離を測ったところ11mmありました。
そこで、先ほどのスケール長ポイントから11mm前方(ネック寄り)のセンターライン上に新たな印を付け、センターラインから垂直に各37mm行ったところがアンカー穴の中心点となります。
念のため、ブリッジ(FERNANDESのFRT4)のベース部分を乗っけて、1弦と6弦のサドルに糸を張って弦の通り道をチェックします。
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そしてドキドキの穴開け。
新兵器のアクリル・ミラー君が活躍します。
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写真ではちょっとズレておりますが、このように、ドリルの鏡像と実像が一直線になるようにすれば、アクリル・ミラーに対して垂直な穴が開けれるというものです。
勿論、アクリル・ミラーを適当な角度に固定しなくてはいけませんが、PEのようなアーチド・トップは何を基準にすれば良いか中々難しいです。
といいながら、最後は勇気と元気を振り絞って決行! 1.5mm、4mmとだんだん径を太くしながら最終的に10mm径で20mmの深さの穴を開けました。
アンカーを打ち込み、スタッドをネジこんでブリッジを乗せてみたところ、上手くできたようです。

そして苦行! ブリッジ本体用ザグり

精度的に最大の難関を突破したあとは、根気的な難関であるブリッジ本体のザグりです。
完成したスタッド穴を基準にFLOYDROSEのテンプレをセットし、ザグり位置を確認します。
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ここは新兵器の20mm径フォスナー・ビットをはじめ、普通のドリル・ビットやノコギリ、ノミ、彫刻刀、ヤスリ等、切ったり掘ったり削ったりする道具を総動員してボティを貫通する穴を開けます。
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元のブリッジ用アンカー穴につられて掘り過ぎたところは後でパテ埋めするとして、今日のところはこれにて作業終了。

明日、引き続きスプリング・ハンガー用のザグりをボディ裏面に施します。
と、その前に、ヒバ集成材15mmの丸棒を12mmに削ったヤツでテールピース・アンカー穴を埋めております。微妙な隙間は2液混合の瞬間接着剤で埋めております。
ついでにボディ上方6弦側にあるトグルSWの穴も塞いじゃいました。
トグルSWは右手小指で操作できる位置に移動し、操作性アップとリード線を最短化することによる音質向上も狙います。
この丸棒削りも地味ながら中々骨が折れる作業でした。

一夜明けてスプリング・ハンガー用ザグり

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こちらもフォスナー・ビットが活躍する予定でしたが、ドリルドライバーのスペック不足か、それほど快調には掘り進めません。
実際にブリッジを当てて、ブロックやスプリングとの位置関係を見ながら、再び道具総動員で掘ります。
最終的に紙ヤスリで整形していきますが、ビット先端でできた穴等はどうせサンディング・シーラーで埋めるしと、自分を納得させてほどほどのところで終了。
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ザグリ作業でチップした表面や削り過ぎた部分はパテで修復。アンカー穴を埋めた丸棒が飛び出ている部分も合わせて、サンディングで整形。
その後、新たに露出した木部は塗装に備えてプライマーを2回吹いておきました。

例のヒール付きネック・ジョイント部もパテで埋めて段差を無くしておきました。

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